
JOURNAL · 書家に聞く
漢字はどこから来たのか——象形文字のはなし
漢字のはじまりは「象形文字」。太陽や月、山や川を線でかたどった文字が、どのように増え、五つの書体へと育っていったのか。
漢字のはじまりは「象形文字」——目に見える形を、線でかたどった文字です。実は漢字に限らず、古代文明の文字の多くは、身のまわりの物や天体、森羅万象を“絵”のように写すところから生まれました。
太陽、月、山、川——形を線にする
象形とは「形をかたどる」こと。ただし写生ではなく、本質を数本の線で言い切ります。
- 日:丸の中に、黒点としての一本を入れる。
- 月:太陽と区別するため、満ち欠けする三日月の形で。
- 川:大きな流れと脇の小さな流れで、三本のS字を描く。
- 山:遠くに見える山並みを、高い峰・低い峰として表す。
身近な例をひとつ。スマートフォンの絵文字(アイコン)は、ひと目で意味が伝わります。機能としては、漢字に驚くほど近い。文字とは本来、そういう「見て分かる」仕組みだったのです。
二つ重ねて、一つを部首にして——増えていく文字
はじめは、小学一年生が習うような基礎的な字がありました。そこから、二つを組み合わせたり、一つを部首にしたりしながら、文字はどんどん増えていきます。やがて中国・清の時代に編まれた『康熙字典(こうきじてん)』には、五万字を超える漢字が収められたと言われます。
「書く」が、書体を生んだ
字が増えると、今度は「どう書くか」が育ちます。こうして生まれたのが、篆書(てんしょ)・隷書(れいしょ)・行書(ぎょうしょ)・草書(そうしょ)・楷書(かいしょ)という五つの書体。それぞれが時代とともに姿を変えていきました。成り立ちを知ると、一字の見え方が変わります。
成り立ちを知ると、書が変わる
一字の奥には、太古の人が見た景色があります。そう思うと、ただ「書き写す」文字が、「意味を帯びた形」として立ち上がってくる。字源を知ることは、書の表現を一段深くしてくれます。
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